つるちゃんからの手紙9月号(令和5年9月号)
 

新型コロナ感染症が5類になって、講演の依頼が増えました。先月は長崎県高等学校中地区教頭・副校長会夏季研修会にお招きいただきました。「歯の健康教育」なのかなと思ったのですが、鶴田歯科医院で行っている「チーム創りや取り組み」について話をしてほしいとのことでした。私は高校時代ろくに勉強もせず、クラブ(水泳部)とアマチュア無線にうつつを抜かしていたので担任の先生には、進路を決める時には迷惑おかけしました。

そんな私なので、高校の先生向けに話をするなんて、とても気が引けたのですが、他界した母も高校の教諭をしていたので恩返しのチャンスと思い、いつもの何倍も時間をかけてスライドの推敲を重ねました。 演題は「歯科医院経営は人づくり」。

丸一日の研修会。午後一番の80分の時間、私だったら間違いなく居眠りしてしまうような時間だけれど先生方は熱心に聴いていただきました。(以下、講演内容から抜粋)

私の医院にはクレドというものがあります。このクレドというのは信条をいう意味で、これを朝礼の時に唱和しています。唱和して終わりではなく、その内容について今日はどんなことに意識して診療を行っていくかを話あう時間を作っています。「来院者には、いかなる場面でも温かい心からのご挨拶を。必ず笑顔で応対し、名前でお呼びするよう心がけます」なぜ、このクレドがあるのか。歯科医院を訪れる人は、不安な気持ちを持つ人も多いのです。とくに初診でおいでになる患者さん。「今日は何をされるのかなあ」、「抜かれたらどうしよう」、「痛かったらどうしよう」、「こんなに放置していたのだからきっと歯科医に叱られるにちがいない」「私の歯並びを見てスタッフの人が笑わないかな、恥ずかしいな」などと頭の中は不安でいっぱいなのです。前の日に眠れなかった、朝食が喉を通らなかった。クルマで途中まで来ていたのだけれど医院が見えた瞬間Uターンしてしまった人もいるくらいです。だから、私たちは対応に気を配らないといけないのです。予約の電話は特にそう。患者さんは気になるところがあってもよし、「歯医者にいこう」と決心するまで時間がかかるものなのです。決心した後も、どの歯医者に行こうかと迷います。決めたら携帯電話を握りしめ、不安な気持ちで電話をするのです。その時に電話対応が良かったらどうでしょう。きっと心が軽くなるでしょう。歯科医院に行った時、受付の職員が立ってお辞儀をしてくれたらどうでしょう。笑顔で挨拶してくれたらどうでしょう。自分の名前を呼んでくれたらどうでしょう。はじめて会う歯科医が、「○○さん、こんにちは。歯科医師の○○です」と自己紹介してくれたらどうでしょう。コンサルテーションが終わったあと「これまで大変でしたね。これから一緒にがんばりましょう!」と励ましてくれたらどうでしょう。歯科衛生士から「歯磨き、ずいぶんうまくなりましたね。ほらここの歯茎から出血しなくなっていますよ」と言われたらもっと歯を大事にしたくなりませんか。私の仕事は歯を治すことだけではありません。人生90年、人々の歯やお口が健康な事で豊かな人生を過ごしてもらうことなのです。「ここは日本の西にある地方かもしれないけれど、都会に負けない立派な歯科医療を行いましょう。ここから世界に出発しましょう」一緒にはたらく歯科医師にはいつもそう話しています。大事なことは、なんとしてもやり切るといった覚悟、そして情熱なのです。