つるちゃんからの手紙3月号(令和4年3月号)
 

本を出版する、WEBセミナーで発表すると、必ずと言っていいほどSNSでつながる人ができます。そうなると、個人的な質問が私に届きます。多いのが、「先生はスタッフのモチベーションをどのようにしてあげていますか」というものです。理由を尋ねると、自分の医院のスタッフはどうも元気がない、積極的に働いてくれない、意欲がない、といった問題があるそうなのです。歯科医院に限らずこのようなことで悩んでいる経営者や管理職の方、結構おられると聞いています。他の講演でも同じ質問を受けたことがありますが、決まって私は「そんな方法はありません」と答えています。スタッフは人です。人を簡単に動かす秘訣なんてあるわけがないのです。

そんなことより、「あなた自身はどのくらい真剣に仕事に打ち込んでいますか?」ということを投げかけてみます。いつも、ああしなさい、これをやりなさい、と偉そうに指示、命令してもスタッフは、絶対にあなたのためには働いてはくれません。

うちの先生は一生懸命仕事をやっている。本当に気の毒になるくらい。とスタッフが思えるくらい熱心に打ち込むことが大事だと思います。あなたが一生懸命仕事に打ち込むと、必ず、良い結果がでます。毎日毎日、どんな時でもクオリティが高い治療を、痛くなく、腫れないように丁寧に行っていく。すると、歯が修復されて噛めるようになったとき、患者さんが喜んでくれる。それを見ているスタッフは必ず心が動きます。「ああーこんなに先生が頑張っているのだから自分も頑張らないと」。そう思うのが「人」だと思うのです。

院長である私もスタッフに対しても、「本当によく仕事をやっていてくれる」、「自分も負けるわけにはいかない」という気持ちになると、より良い人間関係ができていきます。そういった組織になると、不平不満を感じることが極めて少なくなります。環境が悪い、あれが足りない、誰が悪い、と言うのはとても簡単なことですが、そうではなく、一人ひとりが、もっと役に立ちたい、成長したい、と思えるような組織風土を築くには、リーダーの行動こそが原点だと思うのです。言われたことをただやるだけではなく、自分で考え、判断し、実行していくことができるようになると、信頼を得ます。すると自然と明るくなります。暗いというのは自信がないからなのです。自信をもって働くために大事なことがもう一つあります。それはリーダーが仕事をなんでも自分でやろうとするのではなく、自分しかできない仕事に注力し、他の仕事は思い切って他の人に任せることです。これは丸投げではありません。それをしっかり見守ってあげること。スラスラとできたらいいのですが、その仕事が難しいようであればヒントを与えてあげる。ちゃんと出来たら、「頑張ったね」とねぎらってあげる。「よくできたね」と褒めてあげる。どんな立場の人でも、周りから信頼されることを願って、必死に腕を磨くものなのです。

今月は育児休暇中だった歯科衛生士スタッフが戻ってきます。また、来月から新しく歯科医師が2人と歯科技工士スタッフが入ってきます。みんなそれぞれに、溢れるような「やる気」があります。彼らに歯科医療を通じ地域や社会に役立てるように、大切に育てていくつもりです。