つるちゃんからの手紙 令和7年6月号

2025.06.10


つるちゃんからの手紙 令和7年6月号
予てからオートバイで行ってみたいところがあった。石川県にある千里浜なぎさドライブウェイ。全長8キロの天然の砂浜が道になっているところ。SSTRというオートバイのラリーイベントがある。“Sunrise sunset touring rally”の略称。開催期間中に、自ら設定した太平洋側の海岸で夜明けと共にスタートし、太陽と一緒に走る。そして日の入りまでに日本海に面した千里浜にゴールする。一日で日本列島横断してしまうという、ちょっとしたオートバイ乗りならよく知っているツーリングラリーだ。毎年47都道府県すべてから参加者があるという。立ち寄る箇所は道の駅や震災復興ポイントなどを中心に最低5か所以上。ボーナス立ち寄りポイントは、その日の0時に発表される。ただそれを取りに行くにためには大幅に予定を変更しないといけないこともあるから、日の入りまでにゴールができないリスクもある。そうなると失格だ。しかし、ボーナスポイントをゲットしたら完走証明書に冠マークがつくという。ルールではそれをゲットできなくても完走と認められるが、私はどうしてもそれが欲しい。考えただけでもわくわくする。

開催期間中は全国から約13,000台のオートバイが千里浜に集まる。2月に申し込みが始まるが、あっという間に満員になる。受付が開始されると同時にクラブの親分と二人でエントリーした。次はフェリーの予約をする。これも万博の影響で、なかなか競争率が高い。新門司港から大阪南港まではフェリーで移動。フェリーが接岸するのが朝5時半。午前は大阪、奈良、滋賀と快調にチェックポイントを通過する。ちなみにボーナスポイントは「岐阜のマチュピチュ」というとても険しいところだった。行くと決めていたから、そこに行った。見晴らしがよく素晴らしいところだった。険しい山道の連続でそこに行くために90分の時間と相当の体力を使った。

ついたのが、ちょうど正午くらい。すでに6時間は走行している。それもあってか午後になると疲れがピークに達する。計算すると、このままでは千里浜までギリギリで到着することになる。日の入りまでにゴールしないとすべてが失格となる。交通法規を守らないといけないので、ぶっ飛ばすことはできない。仕方がない。福井の「道の駅たけふ」で食べるはずだった名物ソースかつ丼をあきらめた。

風を体に受けながら何時間も走ると体力を消耗する。脱水にならないようこまめに水分を補給しながら時間がきたら休憩をとる。高速道路では煽られることもあるし幅寄せされることもある。危険とは常に隣あわせなのがオートバイ。ひどいのになると追い抜くときにわざとウォッシャーをする輩もいる。交通の状況と路面を常に読みながら走り続けると精神的にも疲れがでてくる。そのうち握力がなくなってくる。ヘルメットの重みや風圧でクビや肩が痛くなる。そして加減速が頻繁に続くと腰にもくる。ブレーキとクラッチを操作している両足が疲れ、停止したときに車体を支える膝に痛みが走ってくる。しまいにゃ足の曲げ伸ばしにも痛みが出る。体のあちこちから悲鳴が聞こえてくる。

チェックポイントでは参加者同士「お疲れ様」と声を掛け合い、ゴールを目指す。不思議な一体感が生まれる。北陸道の交通量は大して多くはないが、風がとても強く何度もバランスを崩しかけた。北陸道を降りて金沢市内に入った途端、帰宅通勤ラッシュに巻き込まれた。道は渋滞している。日がどんどん傾いていく。見知らぬ土地なので、道を一本間違うとゴールに間に合わないので、慎重にマップを確認しながら前進していく。

そしてようやく日本海が遠くに見えてきた。「のと里山海道」に乗ったその時にゴールを確信した。この道は片側2車線で信号がない。日本海を左に眺めながら快走した。途中何台かのオートバイを追い越した。みんな、みんな、ボロボロだった。私と同じような状態であることは後ろからみていてよくわかる。そして、ゴール前。いよいよ千里浜なぎさドライブウェイを走る。スマホのGPSに現在地点を登録しゴールを確認した。今まさに、夢に見たあの砂浜を走っている。胸から熱いものがこみ上げ涙が自然に出てきた。嬉しくてうれしくてたまらなかった。

その時、無線から私のコールサインを呼ぶ声が聞こえた。すぐに応答した。以前アマチュア無線(短波帯)でつながったことがあるSSTRスタッフのSさんという方だった。この日にゴールすることはあらかじめ伝えてあったが、感激だった。ゴールするところを写真に撮影するから、スピードを落として欲しいと言っている。さらに金沢で開業していて、オートバイを愛好している歯科医のT先生も一緒に観ているから、と無線で伝えてきた。もうなんとも言えない達成感で疲れがどこかに吹っ飛んだ。

多くのオートバイが隊列になってゴールを目指す。オートバイのテールランプが一列に何キロも連なってゆっくりと走る様は圧巻である。ゴールには巨大なゲートが立っている。そのゲートの周りには地元のボランティアスタッフがみんな笑顔で手を振ってくれている。「ありがとう、ありがとう」感動で顔をクシャクシャにしてゴールした。走ることができたのは走れる体があったこと、理解してくれる家族がいたこと、一緒に走ってくれた仲間がいたこと、SSTRに携わってくれる人がいたこと、地元の人たちや、快く見送ってくれたスタッフのみんな、本当にありがとう。人生でやり遂げたいこと、夢がかないました。

ゼッケン#3687 スタート時刻5/29 06:07 ゴール時刻 5/29 17:44 大阪南港から石川県千里浜まで 走行時間11時間38分 走行距離545キロ獲得ポイント28 すべての条件をクリアし完走

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