つるちゃんからの手紙 12月号(令和元年12月号)
 

つるちゃんからの手紙 令和元年12月号

 とうとう師走。一年なんて本当に早いもの。歳を重ねる度にそう思います。クリスマスやお正月が近づくと気分が高揚してきます。2019年の手帳を読み返すと、本当にいろんなことがあったなあと思います。良いことで言えば、大阪で大きな講演会にお招きいただきましたし、他でもインプラント症例を多く発表することができました。また、「開業論」の続編となる本も出版することもできました。本当にありがたいことだらけの一年でした。

 今年、一番よかったことは、新入社員が、ちゃんと育ってくれたことです。どういうことかというと、挨拶と返事がきちんとできる人になったということです。「はあ、挨拶と返事ですか?そんなの当たり前ですよね」と思う人もおられるかもしれません。しかし、心に残るほどの気持ちがいい挨拶と返事というものはなかなか難しいものです。しかもそれを自然に習慣となるまでできるようになるということはもっと難しいことだと私は思っています。私の医院で働く人たちは、毎朝私に会うと本当にいい笑顔で挨拶をしてくれます。私はこの瞬間がとてもうれしいのです。朝の一番の挨拶が気持ち良いということは、その挨拶を患者様にもできるということなのです。だから、私はスタッフに仕事を任せることができます。次に返事です。返事をきちんと返してくれる。これは、仕事に真摯に向き合う姿勢と素直さを表すものです。新入社員は誰を見ているか。それは先輩です。先輩が一人でも元気がない挨拶や返事をしていないと、自分もそれでいいと思ってしまいます。新入社員は必ず先輩の真似をします。だからチームの誰もが、後輩の手本となるくらいのレベルの高い挨拶と返事を妥協なく続けていくことが、毎日の仕事の中で意識しないといけないことです。つまりこれは医院の「風土」・「文化」につながる大切なものなのです。

 よく、見学においでになった人に、「接遇のトレーニングはどこでしているのですか」と質問を受けます。年一回、私は大阪から内田明子さんという元CAだった人に基本動作や身だしなみ、マナーの研修をスタッフ向けにお願いしています、と伝えます。「他には?」と訊かれますが、それ以外はありません。もちろん、年一回の研修だけでは、いい挨拶、返事をずっと継続することはできません。では、どうしているのかというと、日常からそれをしっかりと行うことが大事なのです。人生というのはすべてが人との交わりから始まるのです。いい挨拶といい返事を普段から、当たり前のようにできる人には、周りもその人に良い影響を与えてくれます。

 それがきちんとできる人は、良い態度と良い習慣も同時に身に着けることができると思うのです。例えば、スーパーなどで駐車場に車を停めるときに、入口の近くに停めることはありません。そこは、足が不自由な人や、高齢の人が駐車するスペースなのです。元気で若く、不自由なく歩ける人は、少しくらい遠いところに停めるべきなのです。雨の日などはなおさらです。また、食事や会食のときもそうです。この料理を作ってくれた人、材料を運んでくれた人、食べるものにも命が含まれています。出されたものは残さず食べ、食べた食器は散らかさず、重ねて下げやすいようにしておく。道にゴミが落ちていたら拾う、困った人がいたら手を取って助けてあげる。小さなことかもしれませんが、当たり前にそれができる人になることが、大事なことだと私は思います。それが自然にできるような人になると、それを自分の子供がみて、真似をするのです。そうするが、明るい社会を創ることに繋がっていくのではないかと思うのです。

 最後になりましたが、本年も大変お世話になりました。皆様におきましても、来年は明るい良い歳になることをお祈りしております。