つるちゃんからの手紙 令和7年4月号
 

つるちゃんからの手紙 令和7年4月号

「社会人になって大切にしてほしいこと」

4月になり新入社員が入ってきました。私は嬉しくて仕方がありません。たぶんスタッフもみな同じ気持ちだと思います。新人教育で注意していることは仕事の「やり方」だけではなく「あり方」に重きをおいています。

やり方はノウハウです。これまで学校で学んできたことをいかに臨床現場、つまり外来や訪問歯科診療で活用するか、ということですが本当に大事なことは心構えです。「そんなことはいいから、もうわかっているだろうから、早く役に立つ仕事を覚えてもらったほうがいいんじゃないか」という声もあるかもしれません。でも、職場にはルールがあってそのルールをよく理解した上で、しっかりと守ってもらうと、仕事が格段に行いやすくなってくるのです。今日は二つのことをお話しします。

まず挨拶のルール。挨拶は「心を開く」という意味です。「挨拶は自分ですすんでやりましょう、元気な声で!」と何度言っても新人も3週間もすると、まったくやらなくなるのです、と見学においでになった方が嘆いていました。私は、先輩が挨拶の模範をしめし続けることですよ、と言いました。とくにリーダーがいい挨拶すると雰囲気が良くなりますよとアドバイスしました。その方はハッとした顔をして、そうか、「自分が一番できていなかった」と気が付かれたようです。

毎日「○○さん おはようございます。今日もよろしくお願いします」と後輩が挨拶に来たら必ず手を止め、明るい声で「○○さん、おはようございます。今日も頼みますね」と返します。お互いに仕事を始める前に明るい声で挨拶ができると、「ああーこの人はこんないい笑顔で患者様と接しているのだな」と私は嬉しくなります。必ず挨拶をする前に〇〇さんと名前を呼ぶことがポイントです。○○さんはもしかして今忙しいかもしれない、だから挨拶は後回しに‥‥としていると、相手の誤解を招きます。「最近の新人は挨拶ができない」などと思われるとお互いが損をします。先輩スタッフにも、どんなに忙しくても手を止めてちゃんと挨拶を交わしなさい。新人はここにいるだけでも倒れてしまうほど緊張しているもの。だから、「大丈夫だよ、今日来てくれてありがとう」という気持ちをもって挨拶をすることがとても大事なのです。挨拶は「やりたい」、「やりたくない」ではなくチームのルールなのです。野球もサッカーも強いチームほど挨拶はしっかりと妥協なく行っています。それに例外はなく、あかるい挨拶は強いチームを創るには最優先事項と言っても過言ではありません。

次に礼儀のルールについて。「ありがとうございます」と「すみません」だけは、一秒でも早く相手に伝えましょう。これができないと無礼になるのです。わがままな人ほど感謝がありません。なんでもやってもらって当たり前、という考えのようです。これは子どもの考えです。自分のことだけを考えていないで、相手がどう感じるかを覗うことができるのが大人(良き社会人)です。感謝を表す。またお詫びをきちんとする。お礼を面と向かって言うのは恥ずかしい、お詫びは言いづらい、などという理由で適当に後回しにしているとそのツケは必ず回ってきます。「ありがとう」「すみません」が遅くなればなるほど(時に省略する人も)、その人の社会的信用度は落ちていきます。無礼な人、と捉えられると、ずっと仕事のチャンスは回ってきません。挨拶と礼儀。これを馬鹿にしないでずっとやり続ける人になって欲しいのです。これは仕事観とも言えますが、職場に留まらず家庭や社会がより明るくなれば良いと思っています。