痛くない治療へのこだわり
来院される患者様は歯の大切さがわかっています。
しかし、すぐには困らないので、ついつい放置してしまいます。結果、歯を残すことができない事態に陥ってしまうことがあるのです。
80歳までに20本の歯を残せないは誰のせいなのでしょうか。それは歯を失った方のせいだけではないのです。
痛みが少ない快適な治療を行うことが歯科医療従事者の責任でもあると私は考えています。
実は歯科医である私も「歯ぐきに注射される、あの麻酔が大嫌い!」なんです。
健康診断や予防接種でウデに注射されるのもイヤなのに、ましてや口の中、しかも歯ぐきにブスッと針を刺されるかと思っただけで、もう歯医者さんに行くなんて…ブルブルブルと震えてしまうような気持ちになるのです。
私の著書「予防歯科をはじめよう!」にも書きましたが、私が歯医者になった一番大きな理由は自分の歯が抜け落ちて将来入歯になってしまうのは絶対にいやだという思いが強かったからでもあるのです。
だから歯医者になって研修医一年目の時、どうやったら痛みがないように麻酔の注射ができるのかを大学病院の先輩にかたっ端から尋ねてまわったことを覚えています。
探したら、いたんです。麻酔注射のエキスパートが。
第一口腔外科のM先生。
「なに?痛くなく麻酔を注射する方法?なんで俺にそんなことを聴くの?」とM先生。
「先生は外来で大きな手術をされてもほとんどの患者さんが笑顔で帰って行かれるし、手術後もほとんど腫れたり、痛みを訴える患者さんがほとんどいないじゃないですか。きっとなにかコツがあるんじゃないかと思ってお聞きしました。」
「俺にそんなこと聴くヤツがいるなんて驚きだね。いいよ、教えてあげるよ。そこに座りな」
そういって、歯と歯ぐきの図と模型をつかって、痛くない麻酔の方法を伝授していただきました。
「つるちゃん、一番痛みがない場所ってわかるか?」
「そうだよな、ここだ。ここが痛くないってみんなわかっている。でも、なんで痛くなるかわかるか?それはな、丁寧さが足りねえんだよ。まず表面麻酔。これがちゃんとできてなきゃだめだ。話にもならん。(中略) そして歯肉頬移行部の粘膜のテンションのかけ方だ。そうそう、そのくらい、ミラーをこう使うんだ。そう、こうやってヘマトーマみたいのができたら、もう刺入OKのサインだ。次に角度だ。まず針先をよく見て。そう、断面がこうなってるだろう?この面をこの角度で粘膜にこのスピードで刺入するんだ。刺入したらこのくらいの速さでシリンジに圧かけるんだ。いや、それじゃかけすぎ!それじゃ痛い。そうそう、このくらい。いい感じだ。うまいね。そう、ここまでやんなきゃ注射は痛い!」
と数時間にかけてレクチャーしていただいたのです。
私はうれしくて、とったメモをまとめ何回もシュミレーションしました。
そして、次の日から患者様にその方法で局所麻酔をしていったのです。
痛みが少なく麻酔の注射をするにはテクニックの熟達が必要でしたが、経験を重ねていくと、患者様に「注射が思ったより痛くなかった」と、とてもよろこんでもらえたのです。
それからというもの、いろんな方法を勉強し、極力無痛治療を心がけるようにしたのです。
無痛にこだわるということはとても大事なことですし、これからももっと腕を上げたいと思うところです。最後の細かいところは口で表すことのできないくらい難しく、私たち歯科医の経験とテクニックも大きく左右します。そこで、当院の局所麻酔の方法を簡単ですが、皆様にご紹介したいと思います。
ご注意!
過去に麻酔を行って不快症状の出現や、アレルギーを起こした方は予めお申し付けくださいますよう、お願い申し上げます。また、事故防止のために、これまでかかった病気や現在内服されているお薬についてもお知らせください。
局所麻酔を行う前に表面麻酔を行います
麻酔を行う前に
表面麻酔(ゼリー状のお薬)を塗ります。
数分程度お口の中にいれておきます。
この表面麻酔薬を口腔粘膜に十分な時間をかけて浸透させていくことがもっとも大切なステップです。
薬剤を塗布しただけなのに、麻酔をしたようにしびれてきますが、少々にがいので途中うがいをしたくなったら、うがいをされてもかまいません。
これが、局所麻酔を注射したときに痛みの感覚を鈍くするための
前処置となります。
麻酔の薬液と針について
薬液は恒温機器の中で使用直前まで37℃(ほぼ体温と同じ温度)に保っているため刺激が少なく感じます。(個人差があります)
また局所麻酔で使用する注射液の種類もいくつかありますが、その中に含まれている防腐剤がアレルギーの原因になっていると考える研究者もいます。
よって当院では防腐剤の添加がない局所麻酔注射液(オーラ注歯科用カートリッジ:昭和薬品化工)を使用しております。
また、使用している針のサイズは、33G《ゲージ》を使用しておりますので
感覚がわかりにくくなっております。
また専用の電動注射器により、穏やかに時間をかけて薬液注入を
おこなっております。刺入も痛点分布域の少ない領域を選択し、
慎重に行っております。

麻酔中、麻酔後の状態
■心臓がドキドキするということがあります。
⇒薬液中の塩酸リドカインの影響です。
心臓への薬理作用によるものですので心配はありません。
■麻酔をしたところが、腫れぼったく、しびれて変な感じがする
⇒麻酔が十分に効いている状態です。
※もし、頭痛や吐き気、めまいなど、気分が悪くなった場合は、
すぐにスタッフへお申しつけください。
治療後の注意
■麻酔はいつまで効いているのか?
⇒使用量にもよりますが、おおよそ1~3時間程度でもとの状態に戻ります
■麻酔がきれるまでは、食事は控えるようお願いします。
■局所麻酔について質問のある場合や、痛みに対して不安がある場合はご遠慮なく、歯科医師、歯科衛生士、受付職員にお尋ねください。


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