つるちゃんからの手紙 10月号(令和元年10月号)
 

つるちゃんからの手紙               令和元年 10月
         
「インプラントを入れてもらいました……私がです!」

 拙著「予防歯科をはじめよう」「開業論」にも書いたことなんですが……私が歯医者になった理由。それは、高校3年生の時に奥歯(第一大臼歯)を無断で抜歯されたことがきっかけでした。当時はインプラントなんてほとんど普及していませんでしたので、健康なとなりの歯をたくさん削って、ブリッジで修復を行いました。学生時代に古くなったブリッジを再度製作。そして今年に入ってから、そのブリッジが脱離しているのをメンテナンス中に発見。すぐさまブリッジ除去、削ってあるところには副院長の願能先生にお願いしてCEREC治療をしてもらいました。CERECはなにしろすごい。噛む感触が天然歯とほとんど変わらない。銀歯で噛んでいた時と比べるとまるで違います。身をもって体験できました。そして、高校3年のとき抜歯されたところ、そのポカンと空いた第一大臼歯の部分には、インプラントを埋入することにしました。

 大阪で開業している中山隆司先生にお願いしたところ、二つ返事で快諾していただきました。私が所属している即時荷重研究会の理事をされているすごい先生なのです。中山先生の手術のウデは間違いありません。それでも、前日と手術が始まる前まで、私は不安と緊張を隠すことはできませんでした。手術開始の時間が近づくにつれ、私の心臓はバクバクと音がしてくるほど緊張してきました。それと裏腹に、中山先生の手術は見事な手つきであっという間に終了し、私が27年間も歯が無かったところに1時間足らずでインプラントを埋入したのです。「痛いかも、腫れるかも」、ということが脳裏によぎりましたが、全くそのようなことはありませんでした。そして、手術の当日に仮歯を装着しました。今は術後3週間で、痛みもなくほぼ問題なく奥歯で噛むことができます。そして来月には上部構造という本歯の型どりをします。昔は噛めるようになるまで、どんなに簡単な症例でも4か月はかかっていたのですが、今は術直後に噛める時代になってきたのです。本当に夢のようです。私は感動しました。私の第一大臼歯は短期間に見事に復活したのです。この感覚は新鮮でした。気持ちが、ぱあっと明るくなりました。この経験を通じて、私は患者さんの気持ちをようやく理解することができました。手術は痛くなく、腫れなく、シンプルに、短期間に歯を創るということが、どんなに大切なことかということも。

 私も、しばしばこの方法を使って、手術をしていますので、自信にもつながりました。これをもっとスタンダードな歯科治療にしていきたい。ご高齢の方が健康を維持するには快適な口腔環境が必要です。もし、短期間で歯ができたら・・・食べるという機能は維持できますので、この治療方法で元気な人をたくさん増やすことができることを確信しています。

 今や自動車は手放しで運転ができる時代がすぐ目の前まで来ています。新しいことに挑戦をするということは大事なことです。常識を常識と思わないで、勇気をもって前進することを続けないといけません。今月から、サージカルガイドという正確、且つ安全にインプラント手術ができるという、専用の3Dプリンタを導入しました。

 これまで多くのインプラント治療をしてきましたが、自動運転に負けないような、素晴らしいインプラント治療を行い、多くの人に豊かさを提供していくことに全力を尽くしたいと考えています。インプラント手術はまだまだ進歩できると思っています。

これがインプラントを入れた日の私の口腔内写真です。