つるちゃんからの手紙1月号(令和5年1月号)
新年あけましておめでとうございます。
あっという間に1年が過ぎ、また新たな歳を迎えることができました。元気で働くことができることに感謝。
昨年は新型コロナ感染症も幾分か落ち着いた時期に、スタディグループやセミナーで講演をさせていただきました。講演の一部においてはDVDとして発売されたこともありました。また、各地で行われたインプラントセミナーにおいても、はじめて実習インストラクターをさせて頂きました。習う側から教える側になったということが一つの自信につながりました。有意義な一年でした。しかし、最も嬉しかったのは、一昨年前に増築したメンテナンスフロアーが順調に稼働し、この一年で思い描いていた予防歯科が実践できたことです。これも歯科衛生士を含む、職員すべてのおかげだと思っております。
話は変わりますが、当院も今年で開院20周年を迎えることとなります。思い返せばいろんなことがありました。開業地を決めたらすぐに電話がかかって来て「そこに歯科医院を建てるのであれば●●に挨拶にいくように」と言われたこともありましたし、近所の人に内覧会の案内をもっていったところ、ある同業団体の役員から「広告は禁止だ」とこっぴどく叱られました。
北高来郡森山町に開業したのは平成15年の2月でした。とても寒い日で土曜日だったことを覚えています。午前中だけの診療で、11人の患者様が来院されました。診療チェアは4台。私と家内と2人のスタッフ、4人での船出でした。森山のきれいな田園風景が窓から見えるとても明るい診療室でした。こだわりぬいてトイレ、診療室すべてバリアフリーにしました。体の不自由な人が車いすのまま診療できる診療台を購入、最新鋭のレントゲン装置を導入と、たくさんの借り入れを銀行にお願いしましたので、一生かかって返済する覚悟をし、「ここにいい歯医者があってよかった」と言ってもらえるようにと、診療に力をいれていました。
当時、歯医者は開業したばかりというのは「閑古鳥が鳴く」と言われていましたが、ありがたいことにたくさんの患者様に来院していただきました。しかし、待ち時間も長く、予約が入らなくなってきましたので、次の年にはさらに2台の診療チェアを増床しました。また借入は増えましたが、地域の人に喜んでもらえるならと懸命に働きました。同時に一緒に働く人も増えてきました。職場が合わなくて辞めていった人もおられますが、女性スタッフの中には結婚して出産しても、ずっとここで働いてくれる人も多いのです。これはとても喜ばしいことです。また、幼いころから歯科治療で通院していた人が、まさに今私の医院で歯科衛生士として活躍しているのです。そして平成23年にこの愛野町に移転しました。ここに来て早くも12年。本当にあっという間です。現在は30人以上の仲間と12台の診療チェアを設置して毎日を楽しく過ごしています。開業したときには、まさかこうなるとは思っておりませんでしたが、以前と比較すると十分に幸せであることは間違いありません。ただがむしゃらで、気がついたら20年という感じです。33歳時に開業して今は53歳。開業前に産まれた長男もすでに21歳。本当にあっという間。でもまだまだ。私の師匠であるH先生は御年70歳。インプラント業界ではゴッドハンド(神の手)と呼ばれている方です。今でも私の2倍以上の手術症例をこなし、惜しみなく後進の育成に力を注いでおられます。たくさんの若い歯科医がH先生の影響をうけています。私の目標は師匠のH先生です。そのために一日一日、力を尽くして生きたいのです。よく同級生や同業の先生方と話をしていると、「よくそこまでがんばれるねえ」と言われますが、一つは仕事の達成感というものが自分を支えているのは確かです。仕事を本気で努力して行った後というのは自分を褒めてあげたい、いたわりたいような気持が起こってくるものです。今日一日、本当によく働いた。頑張った。そんな時には食事も美味しいし、風呂につかるといい溜息をつくことができる、気分も和らぎ、心が満たされていくような、なんとも言えないような良い気持になるものです。この気持ちは何にも変えられない。お金で買う事もできない。仕事の喜びを味わうことができるなんて、幸せなことだと思っています。次の10年に向けて、また心新たに精進してまいりたいと思います。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
文責 鶴田博文